ジェイドリアンのカスタムブログ

フルカスタムジェイドを作っていく記録

LEDヘッドライトバルブについての雑学

こんにちは。
 
最近では始めたばかりのツイッターにはまっており、
そちらで小ネタを投稿して満足していました。
 
それはそれで楽しいのですが、
ブログの方も更新しないといけないと思い、
本日は、LEDヘッドライトバルブについての雑学を
少し長くなりますが、記していこうと思います。
  
 
これを読めばLEDの新しい知識が身につくはずです。
 

 

 
 
 

きっかけ

実は、私は某照明器具メーカーに勤めていて、
そこでLED照明の設計をしており、
どこのメーカーのLEDチップが明るいか、
筐体をどのように設計するかということに従事していました。
もう辞めましたが笑
8年ほどそのようなことをしていたので、
少しはLEDについての知識を持っています。
 
 
 

どのLEDが良いのか 

どのメーカーのLEDチップが搭載されていると良いのか、
それは、
・OSRAM(オスラム)、
・Lumileds(ルミレッズ(元フィリップス))
です。
 
CREEのLEDチップを搭載している商品をたまに目にします。
CREEも明るいチップを作っている5大メーカーの一つですが、
CREEは公式に「車載製品への使用をNGとする」としています。
 
つまり、CREEと記載のあるLEDバルブはほとんどが偽物です。
実際ストアに問い合わせると、「CREE仕様のチップを使っています」と、
ようするに偽物ですという回答をしてきました。
CREEと書かれたバルブは買わない方がいいと思います。
 
オスラム、ルミレッズは
ともに車載業界での採用率が高いです。
信頼できるし、本物のチップも入手しやすいため、
LEDバルブを買う際は、オスラムかルミレッズと
記載のあるバルブを買いましょう。
 
他のメーカーのLEDチップや
オリジナルLEDとうたっている商品を買うなら
ハロゲンバルブを付けたほうがましだと思いますので注意してください。
 
 
 
 

LEDの熱のについて

近年のLEDヘッドライトバルブに採用される
ハイパワーな白色LEDは、すごい熱を発します。
光り続けるには冷却が必要です。
どの程度の熱かというと、
半田ごてを思い出してみてください。
一般的な半田ごては、おおよそ20~30Wで、
触ると大やけどをしてしまうほど熱いです。
LEDバルブの電力は30W前後が多いため、
そうとうな放熱機構が必要となります。
 
そこで各社、ファン冷却や、アルミやステンのリボンでの
放熱に力を入れています。
個人的にはファンでの冷却方式が一番効率が良いと思います。
 
 
 
 

LEDの寿命について

LEDの寿命を40000~50000時間と
記載しているストアが多いですが、
ファン冷却式だと、ファンの寿命は車載環境で
10000~20000時間もてば良いほうです。
高速回転しているファンのベアリングが、
路面からの衝撃、
エンジンからの振動、
雨、ホコリ、虫などの影響によって
割と早い時間で劣化することが、
照明を設計していた時の研究で分かっています。
 
全てのファン冷却式のLEDバルブの寿命は、
最大でも20000時間と考えましょう。

 

ファンが壊れる=LEDが熱暴走する→すぐにつかなくなる

 

ファンが壊れるとLEDはすぐに寿命を迎えます。
LED自体はハロゲンやHIDよりも長寿命ですが、
冷却がとても大事ですので、ご注意ください。 
 
 
 

ルーメン(光束値)について

LEDヘッドライトバルブを選ぶ際に「ルーメン」という言葉を目にします。
これは光束の単位で、明るさの指標になるものです。
光束というのは、文字通り「光の束(たば)」ですが、
もう少し簡単に言うと、光源(LED)から光の線が
何本出ているかというものになります。
3000ルーメンだと、3000本、
10000ルーメンだと、10000本です。
それだけ光源のエネルギーが大きいということになります。
 
しかし、光線が何本出ていようが、
地面にその光線が到達しなければ意味がありません。
実際にはヘッドライトのレンズを透過する際に
消滅する光線も少なくありません。
 
 
 
 

ルクス(照度)について

地面をどれだけ照らせているかという指標がルーメンでは表せないため、
lux(ルクス)という明るさの指標が出てきます。
 
ルクスは照度の単位で、どれだけ物に光が当たっているか
というもので、照明では重要な単位ですが、
LEDバルブを販売するストアの説明にはあまり登場しません。
 
照度はバルブを入れる器具の照射効率に影響されるため、
実際にバルブを買って、光らせてみるまではわかりませんため、
登場回数が少ないのかもしれませんが、照度の説明のある
ストアは信頼できると思います。
 
 
 
 

明るさについて

高ルーメン値のバルブを照射効率のいい器具に入れれば
高い照度を得られますので、ルーメン値の大きいバルブが
明るいと言えると思います。
 
また、発光効率という考え方もでき、
単位は[lm/W](ルーメン パー ワット)で表されます。
1Wで何ルーメン出力されるかという効率値です。
LEDメーカーはこの効率を少しでも改善するために
日々努力しています。
研究室レベルでは、300[lm/W]という驚異的な効率の
LEDが開発されているようです。
現在の市販品では、コスト的にも、LEDの寿命的にも
120[lm/W]に落ち着いていると思います。
 
 
 
 
 

LEDの明るさとは 

まず、LEDは点灯するとともにチップの温度が上がっていきます。
LEDは温度が上がると光束が低下し、照度も落ちるという特性があります。
つまり、点灯し始めるとだんだんと暗くなっていきます
温度が安定すると光束も安定するため、販売する際は安定した際の
ルーメン値を記載すべきだと個人的には思います。


対して、HIDはつけ始めが暗く、
時間が経つにつれ明るくなっていき、
1番温度が高くなったときに1番明るくなります。

明るさを比較するときは、どちらも10分はつけっぱなしにした方が正確です。

 
目安ですが、
ちゃんとしたバルブメーカーならば、
LEDチップの温度を80~90度となるように
冷却の設計がされています。
その温度帯だと、点灯し始めから20%は暗くなっています
 
例えば、ルーメン値が4000ルーメンのLEDバルブだと、
安定時はだいたい20%オフの3200ルーメンとなります。
これはHIDの35Wより少し暗い程度です。
 
しかし、ここにも落とし穴があります
多くのストアは、計算上の最大のルーメン値を記載しています。
問い合わせたストアもそのように回答がありました。
 
どういうことかと言うと、
使っているLEDチップの理論上最高の効率で計算・表記しています。
 
大きく10000ルーメンと表記された商品の計算は、 
250[lm/W] x 40W=10000ルーメンということになっています。
 
上の計算式の250[lm/W]という値が「理論上最高の効率値」になります。
しかし、現実の車載環境では出力不可能な値です。
加えて、40Wとはハイビーム時の電力です。
実際はロービーム時の値が大事なので、意味のない数値です。
 ルーメン値は好き勝手に書けてしまいますので、

信用してはいけません。

 
 
 
 

LEDの明るさの計算方法

LEDバルブの実力値を、消費電力からざっくり計算する方法があります。
これはかなりの確度でそのバルブの実力値がわかります。
 
消費電力に120を掛け算します。
例)30Wx120=3600ルーメンです。
チップの温度が80~90度だと、120[lm/W]の効率が
コスト的にも寿命的にもバランスの取れた値です。
上の計算で出てきたルーメン値が、
バルブの温度が安定したときのルーメン値になります。
通常販売されている商品は30Wが大半を占めています。
 
※ここでいう30Wとは、ロービームのことを言っています。
多くのストアはハイビームの電力を記載していることが多いため
注意が必要です
多くのバルブは、LEDが4組ついていて、
ロービームは2組点灯、
ハイビームは4組すべて点灯という仕組みになっています。
ざっくりですが、消費電力が2倍も違います。
 
あらかじめ商品説明に電力が書いてあったら、
それはハイビーム時の電力であることが多いです。
その場合は、上の計算結果を2で割ってください。
例)30Wx120=3600ルーメン
      3600ルーメン÷2=1800ルーメン(ロービーム時)
 
HIDより明るいと うたっている商品を買ったけど、
HIDよりは暗いかな、というインプレが多いのはこのためです
明るいと言っているのは、ハイビームの時に限ったことだからです。
 
LEDヘッドライトバルブがロービームでHIDの55Wを超えるには、
ロービームで50W以上の電力が必要になりますが、
ファンを増やしたり、ヒートシンクを良い材料にしたりと
コスト的に見合わないため、実現は当分難しいと思います。
 
ヘッドライトをかなり下向きにして、
常にハイビームで点灯すればいいという考え方もありますが、
コストを抑えるためにロービームで成り立つ冷却設計に
されているため、常にハイビームだと、
LEDが焦げてすぐに点灯しなくなるなど、
寿命が極端に短くなります。
 
明るさを求めるならHID 55Wの一人勝ちというのが、
私のたどり着いた結論です。
 
 
 
 
 

まとめ

長くなりましたが、
LEDヘッドライトバルブを購入する際に気を付けることは、
 
1、OSRAM(オスラム)か、
  Lumileds(ルミレッズ(元フィリップス))の
  LEDチップを搭載した商品を買うこと
 
2、ロービームの電力が何ワットか問い合わせて、
     120を掛け算してみる。
    例)30Wx120=3600ルーメン 
  この計算値が求めている明るさなのか、よく考える。
  参考:HID 35Wは 約4000ルーメン
     HID 55Wは 約6000ルーメン
     ハロゲン 55Wは 約2000ルーメン
   (※消費電力の回答のないストアでは買わないほうがいいです)
      (※ロービーム時の消費電力で計算をしてください)
  
3、明るさを求めるなら、HIDの55Wが一番いいです。
      55Wだと熱量がすごいので、リフレクターが白く焦げたりするため、
      ヘッドライトが小さいときは35WのHIDでもいいと思います。
      ちなみに私はリレーレスのHID35Wを装着しています。
      ロービームはLEDより確かに明るいです。
      「シュウィーン」という独特の動作音も、
      個人的にはかなり好きです。
 

 
読んで頂きありがとうございます。
個人的な感想も多く含まれているため、
「へぇ、そうなんだ」程度でお考え下さい。
 
 
最後に、
LEDヘッドライトバルブの効率を120[lm/W]と
仮定していますが、毎年効率が上がっていますので、
計算が合わないなと感じたら、それは効率の良い
LEDヘッドライトバルブを選んでいる証拠となります。
その場合は、効率を130[lm/W]や140[lm/W]で
計算してみて下さい。
しかし、くれぐれもロービームの消費電力で計算する事を忘れないよう注意が必要です。
 
 
LEDバルブを買うときの参考になればと思います。